枯草菌の培養



1序論
  タイトルからわかるとおり、枯草菌を培養します。枯草菌とは、細菌の一種で、グラム陽性桿菌に属しています。グラム陽性桿菌というのは、グラム染色(細菌の種類を特定する特別な染色法です。)をすると青く染まる細長い細菌のことです。細菌は丸ければ球菌、らせん状なららせん菌、細長ければ桿菌と分けられ、さらに球菌がブドウのように群れていたらブドウ状球菌、2コくっついていたら双球菌と、そのまんまな名前がつけられています。わかりやすいですね。少し前に話題になった炭素菌もこのグラム陽性桿菌に属していて、生態もよく似ています。でも毒性はありません。納豆菌なので。
培養とは、培地という餌場に微生物を加えて適当な温度環境を保ち、その微生物を増やすことです。
  培養した菌体を顕微鏡で観察するのですが、そのままでは見えないので染色してから観察します。
2実験に使う道具
  納豆…この中に枯草菌(の一種の納豆菌)がいます。
  培地…細菌を育てるための餌場のようなもので、培養する細菌の種類によってさまざまな種類があります。枯草菌には市販のトリプトソイ寒天培地を使います。これは粉末を水に溶かして使う培地で、肉エキスのほかに大豆たんぱく質が入っているのが特徴です。
  クリーンベンチ…紫外線ライトによって人工的に無菌空間をつくりだします。培地に菌を植えつけるときに、雑菌が入り込まないようにこの中で作業を行います。
  インキュベーター…装置内の温度を一定に保つことができるので、培養するものをこの中に入れて培養します。  
  オートクレーブ…培地や使用器具の滅菌に使います。内部の温度を120℃くらいまで上げることが可能で、これによってほとんどの菌が死滅します。
  竹串…培地に細菌を移植するときに使います本当は白金耳という道具をつかうのですが、ないのでこれで代用します。
  蒸留水…普通の水道水には不純物が入っているため、培地の粉末を溶かすのには適していません。だから蒸留水を使います。
  マグネチックスターラー…粉末の培地と蒸留水を混ぜる機械。水中で棒状
の電磁石をまわすことで渦状の水流を起こし、中の水を効率よくかき混ぜることができます。また、ヒーターがついているので、かき混ぜているものを熱し ながら溶かすこともできます。
アルコールランプ…火炎滅菌という、クリーンベンチ内での滅菌に使います。
  シャーレ
  三角フラスコ
試験管
  アルミホイル
  ゴム手袋
3実験方法
  準備
シャーレ、試験管など、実験で使う器具を滅菌する。このとき、アルミホイルで器具を覆う。

培地の作成
1. 粉末の培地を蒸留水に溶かす。このとき、1分間沸騰させる。
2. 三角フラスコに培地の素を流し込み、アルミホイルでふたをして、オートクレーブで15分間かけて滅菌する。
3. 殺菌した手袋で素早くクリーンベンチ内に移し、熱いうちにシャーレに入れる。

菌体の培養
1. 市販の納豆2粒を蒸留水と一緒に試験管に入れ、よく振り混ぜる。
2. それをクリーンベンチ内に移し、竹串につけて軽く培地をなぞるようにつける。
3. ふたをしてインキュベーターで48時間培養する。
染色と観察
1. スライドグラスの上に少量の滅菌水をとり、少量の細菌を竹串で滅菌水と静かに混ぜ、薄く広げる。このとき、細菌液が濃くなりすぎないようにする。
2. 空気中で自然乾燥させる。
3. 菌のついている面を上にして、ガスバーナーの中をゆっくりと3回ほど通す。このとき、細胞が焦げないように気をつける。
4. やや多量の染色液を標本に注ぎ、1、2分放置する。
5. スライドグラスの裏側から水道水で色素を静かに流し、大部分の色素が流れ落ちたら表側も水洗する。
6. ていねいに水を切り、自然乾燥させる。
7. 顕微鏡で観察する。
4結果
  7つ培地を用意して実験を行ったが、どれも生育が認められた。しかし、生育の良さにはばらつきが出た。
5考察
生育が悪かった培地はどれも培地の量が少なかった。おそらく成長に必要な養分が足りなかったものと思われる。後で調べたのだが、培地の量はシャーレに半分くらいがいいらしい。