アルコール発酵実験

中三 金子 達哉 

 アルコール発酵とは酵母菌が糖分を分解しエチルアルコール(エタノール)と二酸化炭素を発生させることによりエネルギーを得る呼吸である。これを嫌(無)気呼吸という。少し難しく書くと
CH12O → 2CHOH +2CO
グルコース(ぶどう糖)→ エチルアルコール + 二酸化炭素
という事になる。これがアルコール発酵と呼ばれる反応である。これは古くから知られており酒作りによく使われていた。今回は酵母菌としてドライイーストを使用し、またアルコールの量を測る事は難しいため二酸化炭素の量を測って実験をしていく。
実験に必要な物
イースト菌・糖分(基本的にグルコース)・キューネ発酵管・その他実験内容による
1.温度による発生量の変化
 アルコール発酵は温度による変化はあるのだろうか。今回は糖分にグルコースを使用して30℃と40℃(20℃も実験はしたがあまりにも微量であった)で実験する。
<予想>温度は高ければ高い程イースト菌が活発になり発生量も増えると思う
<結果>下のグラフのようになる



(20℃は微量のため掲載していない、単位はml)
この実験結果から見ると温度は高い程いい訳では無さそうだ。20℃は微量であったために温度は高い程いいが、40℃になるとむしろイースト菌にとって有害な温度となる。これは高温になることによってイースト菌が死滅もしくは発酵する能力を失ってしまうようである。そのためこれからの実験は基本的に30℃で実験を行う。
2.発酵させる物を変える
 いままでイースト菌にグルコースを混ぜて反応させていたがでは他の糖分では反応しないのか、なぜグルコースでなければならないのか。そんな疑問が浮かんで当然である。そういうことで実験して見た。
<予想>実験に良く使われるぐらいなのでグルコースが一番よく発生すると思う
<使うもの>三温糖・白砂糖・果糖・グルコース・グラニュー糖・サッカロース・乳糖
<結果>下のグラフの様になる



注;アルコール発酵の実験は先ほどの実験より分かるようにその日の気温に大変影響されやすい実験なので先ほどの実験とは結果が違くても誤りではありませんのでご注意下さい

この実験結果からみるとグルコースはやはり反応しやすい物質であるようだ。また乳糖は全く反応しなかった。果糖はグルコースと似ている物質なのでグルコースとはわずかしか差が無かった。どちらにしろグルコースは反応しやすい物質である
3.有害物質などを混ぜてみる
 アルコール発酵を温度以外の方法で活発にしたり妨害したりする事は出来ないだろうか。そこで毒物を入れる事でアルコール発酵はどのような影響を受けるか実験をしてみた。
<予想>やはり毒なのだから発生量は減ると思う。特に洗剤・タバコは減ると思う。
<使うもの>喉スプレー・タバコ・洗剤
<結果>下のグラフの様になる



やはり洗剤はダントツで1位であった。また喉スプレーは1滴しか入れていないも関わらずこれほど影響があるとは思わなかった。タバコは予想よりも影響を受けなかった。
4.食料品を混ぜてみる
<予想>毒物とは違い人間が食べる物なのでイースト菌にはほとんど影響を与えないと思う
<使うもの>わさび・からし・七味唐辛子・ラー油・酢・胡椒・コーヒー・紅茶・緑茶・塩
<結果>下のグラフの様になる



全体的に少ないが特に酢酸と食塩は途中から発酵が止まってしまった。お茶には消毒効果があると聞きますがその効果は以外と強いようだ。
<考察>最初はアルコール発酵というものを知らなかったが実験をしてみると顕微鏡で見ないと見れないような小さい生物のアルコール発酵という現象にすっかり魅せられてしまった。皆様もイースト菌と砂糖さえあれば気軽に出来る実験なので是非やって見てください。